▼牙を持った羊 序章 超えられぬ壁 | |
故に人間の敵も味方も人間だけだ―― 所詮神も悪魔も この そしてそれが今まで自分を支えてきた。 しかし、 それも、自分がこの世で最も愛しく想う相手によって、いとも簡単に―― この世は光と闇、 善に 時としてこの相対する二極に近付くコトはあれ、完全に至るコトは無い。 決して―― そして、行動の過程も結果も又 しかし、彼女は大変 その行動の過程はあからさまな悪意に その行動の結果は眼に見えない善意に ――やりたいからやるの。 そして彼女を 同時に彼女を識らぬ者から見れば、彼女は前人未到の境地に達した悪人なのである。 完全なる二面性――この絶対矛盾、絶対不可能を彼女は成し しかし、それはまだ先のコト。 過去あってこそ現在があるように、現在無くして未来は語れない。 これから話す彼女を巡る事件は、多分、あの日から始まっていたのだと思う。 あれは、そう――僕が生まれて初めて冒険をした日のコトだ。 |
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