御巫家の食卓
作・不破 天斗

我が親友、colorworldに捧げる

 知る人ぞ知るコトだが、僕の家は父子家庭だ。
 僕が十歳の時に母が亡くなり、自然とそうなった。元々病弱な人だったが、親父と共に
一生懸命に明るい家庭を築き上げてくれた。
 それから八年経った現在、御巫家に新たな家族がやってきた。
 その人物の名は、羽山 鏡子。近い将来僕と義姉の沙羅の継母となる予定だ。
 ただ気になるのは、彼女の年齢が十六歳で、しかも僕の高校の2コ下の後輩という点だ。
 ちなみに親父こと御巫 信行は、現在四十五歳である。
 端から見れば犯罪の臭いがする。親父と鏡子さんに問い質してみると、予想外の答えが
返ってきた。
「コンビニ強盗に鏡子さんが人質に取られたので、ワシが助けに行った」
「裏口から潜入したダーリンが強盗さんをあっと言う間にやっつけたんだよ!もう、その
時鏡子の中でビビってきたの!この人しかいないって!!」
 つまりそういうコトである。
 とりあえず二人が幸せならこちらとしても言うコトは無い。それは沙羅も同意見だ。
 まぁ、親父のコトだから鏡子さんが卒業するまでは籍を入れるコトはないと思う。
 だって、今時珍しい堅物だし。

 それからというもの、御巫家にはイイ意味で変化が訪れている。
 当番制だった食事の用意も、鏡子さんが加わったコトで少し楽になった。親父が早く家
に帰ってきた時は、二人が仲良く台所で料理している場面を見るようになった。
 しかし二メートルを超える巨漢の親父と、頭二つ分違う女子高生の鏡子さんが並ぶ姿は
何処か苦笑を誘う。
 ちなみに親父の料理は地味でマンネリ気味の和食が多いが、鏡子さんの料理はその真逆
だ。実家が定食屋を営んでいるだけあって、百種類を超えるレパートリーがある。
 しかも低価格で、美味くて、量が多くて、調理時間が短いの四拍子揃っている。
 時々御巫家で飯を食うなぎにも見習わせたいくらいだ。


The End.

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送