『なぎさの日記』 作・色世界
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α月Ω日 (炎) 

 今日からコマちゃんに日記を書くように言われたので、いまダイソーで日記帳を買って
きました。これから書きます。なんでも、コマちゃんが言うには日記はその日にあった事
を書き留めることで『日々の己の至らなさを自覚し、次の日の鍛錬に生かすために最適』
なのだそうです。
 うーん。そういうものなのかなぁ……
 ボクにはよく解らないや。
 ちなみに、そういうコマちゃんは日記をつけているのかと言うと『俺は最強』だからも
う必要ないのだそうです。あながち間違いじゃありません。コマちゃんはおそらく義父さ
んと同じか、それ以上に強いはずです。だからたぶん日記をコマちゃんには必要ないので
しょう。
 でも、それを差し引いても『面倒だから嫌だ』という気配を感じるのはなぜだろう……
 ボクの気のせいかな? ボクは割りと鋭いって褒められたりするんだけどな。
 ちなみに、そんなコマちゃんは私の彼氏であり、初めての人であり、パートナーであり、
先生であり、将来の旦那様なのです。 
 あとエッチなのと浮気性なのと凶暴なのが玉に瑕だけど、そんな事を差し引いてもボク
コマちゃんが大好きです。 

 うわぁ……
 こんなことを書いちゃったらもうコマちゃんに恥ずかしくて見せられないや。
 どっか見つからないところにしまっておこう。
 今日はここまでにしておこう。一気に書くと大変だし、長続きしないってコマちゃん
言ってたし。

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α月Σ日 (氷)

 今日は教会のお手伝いや、沙羅お姉さまの買い物にお付き合いしたり、夕方からは喫茶
店でバイトしたりしてました。
 ああ、なんか疲れたなぁ……

 そうそう、いっぱい街を歩いたのでボクが住んでるこの街のことを少し書いておこうか
な。
 この街はオシャレな喫茶店や、ダブりの高校生が存在する高校や、三角飛びで屋上まで
飛べちゃいそうなビル
に挟まれた路地とか、危険極まりない人外な強さを持った超人たち
が生息する教会があったりとハチャメチャな街なのです。
 でも、ボクがコマちゃんと出会った駅前近くのベンチとか、初めて一緒に食事して今バ
イト先にもなってる喫茶店≪ユグドラシル≫とか、ボクはこの街が大好き。
 ああ、なんか今日の内容も恥ずかしいな。
 誰にも見せられないや。

 そうそう、今日はさっきも書いたけど沙羅お姉さまとお買い物に言ってきました。一応、
居候の立場としては荷物持ちぐらいはしなきゃね。
 ……そう思ったんだけどね、無理だったよ。
「買い物お付き合いさせてください」
 ボクはそういってお姉さまに同行する許可を申請した。
「あら〜〜、良いわよ」
 とお姉さまコマちゃんに向ける怖い笑みではなくて本当に優しい笑みを私に向けた。
私は意気込んでどんな荷物でも持ちますって言ったけどお姉さまはただ意味深に笑ってた。
 で、お買い物の先へいった。
 なんだか、電光掲示板に数字がひたすら点滅したりしているところだ。
お姉さま、もしかしてここは?」
「うん。東証よ。NTDME社の株五万株買い! 磐梯グループの会社にTPOかけて!」
 そう言ってお姉さまは株を買い出した。なんでだろう? 一般人が東証で売買なんて出
来るはず無いのに…… お姉さまはいったい?
 休憩時間にお姉さまは呆然と立ち尽くすボクを見て
「ね。さすがにこれは持てないわよね?」
 と言う。さすが沙羅お姉さま
 どうやらお姉さまはここに企業を買いに来たらしい。この日、お姉さまは元手を増やし
てから目当てのエステ会社と化粧品会社の代表株主になりました。
「どっちもお姉さまには必要ないんじゃ無いですか? 十分御綺麗ですよ」
 というと抱きしめてキスしてくれた。 

 そんなわけでボクは忙しかったけどとっても楽しい一日を過ごせました。

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α月ω日 (森)

 今日はコマちゃんお友達が遊びに来た。
 有栖川ほたる。  
 ターミネーターたるたるとコマちゃんから揶揄されるほどしつこいことで有名な、コマ
ちゃんの女友達で同級生で割と古くからの付き合いらしい。
 ……なんだろう、なんかムカつく。
 コマちゃんの同級生か……
 なってみたかったな。
 ボクってどう見たって容姿はローティーンなんだけど、作者の性描写に対する良い訳か、
ボクの中に流れている血の半分が成せるのか実年齢は二十歳だったりする。

 この有栖川ほたるって人は酷いことを言う。
「ねえ、ねえ。この娘がコマさらって監禁して、調教した肉奴隷?」
 ボクは挨拶しただけなのに、初めての言葉がそれだったのだ。この人の非常識さにボク
は何も言えなかった。口を池の鯉みたいにパクパクしちゃったよ。
「ああ、そうだよ」
「ちっ、違います」
 何か諦めたように認めるコマちゃんにボクは全力で訂正した。
「冗談よぅ。なぎさちゃんったら堅いんだから。堅いのはアレだけで十分よ。あっ、なぎ
さちゃんには付いてないか、ハハハハハ」
「当たり前です!」
 ボクが全力で否定するとは掛かったとばかりにニヤリと笑った。
「私が言ったのは頭のことよ。ほら、頭が固いってよく言うじゃない? なぎさちゃんは
何だと思ったのかな?」
 ボクは思い切り赤面しちゃった。まあつまりアレだと思ってたんだ。
 はそれからも新しいオモチャで遊ぶようにボクを何時間も弄くって帰っていった。
 ボクはオメガさんじゃ無いのに!

 まあ、出来ればお友達ぐらいには成りたいかもしれないな。ボクってお友達いないし…


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α月σ日 (銀)

 この日記もとうとう四日目になった。
 今日もバイトと教会のお手伝いをした。最近は暑くなったみたいでなんか憂鬱。
 普通の娘なら夏は活発な時期だと思うんだけど、ボクには吸血鬼の血が入ってるからか
な。日の出てる時間が長いこの時期はなんだか憂鬱に成っちゃう。

「おい、なぎ」
 お掃除中にコマちゃんがボクを呼んだので言ってみると、そこには細長い桐の箱があっ
た。
「プレゼントだ」
 コマちゃんはそう言ってボクに空けてみろと言った。
 ボクはその箱を開ける。
 中にあったのは浴衣だ。
コマちゃんこれって……」
「来週の月曜日、この街で祭りがある。もちろん我が教会も金目当てに毎年、出展する」
「最後の一言は隠した方が良いと思うけど……」
「まあ、清く貧しくのキリスト教も金儲けを受け入れて二百年だ。気にするな、世の中金
だ」
「でも、コマちゃんは以前のお仕事で既に使いきれない程のお金を稼いでたんじゃなかっ
たの? なんで出店なの?」
「いい質問だ。なぎさ」
 そう言ってコマちゃんはボクの頭をなでなでする。ちょっと嬉しい。
「どうも、隠し口座がお袋と姉貴にばれたみたいなんだ。昨日から嫌な予感してたんだが、
いつの間にかいくつかの口座が全額引き落とされ銀行との契約も解除されてた。この状
態で別の隠し口座を使うとお袋達も嗅ぎ付けるから必要な額だけ労働して稼がねばなけれ
ばならない」
 コマちゃんの表情は引きつってた。……可哀想。
「それで、ボクにこれを着て売り子をやれと」
 コマちゃんはあっさりと頷いた。
「ああ、カツアゲするのは簡単だが祭りでは目立つからな。お前がこれを来て世の中の男
という男を萌え狂わせて信者にして、ウチの出店で金を使わせるんだ」
 はぁ……

 そんなわけで、ボクはどうやら短い夜も労働に費やされるようです。
 まあコマちゃんが一緒なら楽しいから良いんだけどね


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α月Θ日 (石)

 明日の夏祭りに際して、コマちゃんが出店の用意に出かけてしまったのでかなり退屈。
週の中でも今日だけは一日何にも無い日なのになぁ。

 ボクは浴衣を着てみた。
 着付けの知識はあったので一人でも何とか切れたんだけど、なんか裾が短いと思ったら
ミニの浴衣じゃない!
 これじゃ危なっかしくてしゃがめないよぅ。
 でも、せっかくのコマちゃんのプレゼント、大切にしよう。

 プレゼントのお返しって何が良いかな。ちゃんとお返ししたいな。
 ボクはコマちゃんのノートパソコンを開いた。インターネットエクスプローラーを開い
てネット検索する。
 うーん、良いのが無いな。
 普段から黒い服が多いから明るい色の服でも渡そうかな。
 そうだ。
 コマちゃんの趣味にあったほうが良いよね。
 私はコマちゃんのブックマーク集を開いて御用達のサイトを見た。
「……ウソ」
 そこには『女教師の艶日記』とか、『愛のある生活の日記』とか、『性活日記ブログ
とか、十八禁の日記サイトばっかりだった。
 コマちゃんてそういう人だったの?
 もしかして、私に日記を書けって言ったのは―――


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α月剴 (晶) 

 夏祭り当日。
 ボクはやきそば屋さんの前で客の引き込み。
「原価が100円。売値が300円。祭りの購買効果に感謝だな。財布の紐をゆるくする
馬鹿どもめ」
 そんな事をお客さんの前で平気で口走るコマちゃんに軽い突っ込みを入れながらあわた
だしく時間を過ごす。
 途中からリアルな世界からオメガさんを伴って原作者が来たけど、とりあえずコマちゃ
の一睨みで三人前買っていったっけ。なんだか一緒に来たバーテンのケイさん似の男の
(明らかに100キロ超)が八人前買ってくれて大助かりだった。ボクにサインを求め
てきたのは嫌だったけど、コマちゃん五千円でサインを売ったのでまあ良いかな。

 しばらくは売り上げでやっていけそうなので、その間にコマちゃんは財テクを駆使して
お金を隠すそうです。お義姉さまも義母さまもなんでお金を取ったのだろう。わざわざ
マちゃんから盗まなくても企業を買えるほど持ってるのになぁ……

 そう思ったボクはやきそばをたかりに来た沙羅お姉さまにこっそりと聞いてみた。
「ああ、あの件ね。盗んでないわよ。一時的に預かっただけ。若いうちに大金を持つと人
間は駄目駄目になるの。なぎさちゃんは愚弟がもっと駄目になるとこ見たいの?」
「ですよね。そっか。ボク、てっきりお姉さまが企業を買われたときの元でとかに使った
のかと思ってました。そうですよね、ああ良かった」
「ふふ、もちろん使ったわよ」
「えっ」
「別に預かるっていうのはお金のままじゃなくても良いじゃない。株券も換金できるから。
寧ろ増やしちゃうから安心して。今のところ株価は下がり続けてるけどね」
 お姉さま、それじゃ盗んだのと同じです。
 なんてことは口が裂けても言えなかった。かわいそうなコマちゃん
 

 忙しかったけど、ボクはコマちゃんのパソコンにブックマークされてたあのHPのこと
がずっと気になっていた。頭から離れなかった。
 もしかして、コマちゃん
 この日記をこっそり見てたりするんじゃないだろうか……

 いや、そんな。
 まさか、でも……

 よし、確かめるしかない。
 

 あっ、突然思い出した。
 実はコマちゃんてば−−−−−−−−−−なんだ。
              ↑文部省による検閲

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α月♪日 (星)

 あっ、前日の日記コマちゃんの秘密を書いたのに文部省から検閲されてる。
 そうだよね。コマちゃんってばこの国にとって注意人物っていうか、ビックスターって
いうか、超VIPだもんね。簡単にヒミツを知られちゃ不味いよね。


 ……
 …………
 ………………って、馬鹿〜〜〜〜〜〜〜!!!!

 騙されないもん。
 何!? 文部省による検閲って。思い切りコマちゃんの筆跡じゃないか。こんな単純な
トラップに引っかかるなんて。
 しかも、文部省って、今は文部科学省だから文科省だよ。マジボケしないでよ。
 信じてたのに、コマちゃんの馬鹿! 馬鹿!
 ちょっと文句を行ってくる。
 いくら未来の夫でもやって良い事と悪いことがある。

 それにこのままじゃどうせ原作者みたいにボクをVNIにして、変な画像を取ってUP
して、またお金を稼ぐに違いない。
 それは嫌だ。
 じゃあとりあえずコマちゃんお姉さんとしばくので今日限りでこの日記帳もお終い。

 また機会があればコマちゃんに隠れてこっそり書こう。



2005/07/16(土) 11:27
From:色世界
[件名]喫茶店《ユグドラシル》店長・不破 天斗さまへ
色世界世界総合研究所の管理人兼所長兼小説書き兼フリーター兼大学生の色世界です。

 キリ番の品、お届けに参りました。
 中身はこちらのサイトで公開するつもりは一切ありません。
 どうぞ弄くるなり、捨てるなり好きにしてください。

 何にも無いサイトですが今後とも宜しくお願いします。
 こちらこそ、ヨロシク!(不破ふわ たか
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